舞台裏

HISTORY 5 -U型調光器のあれこれ-

2015年10月21日

皆さん、こんにちは!

この連載も第五弾となりました。

これも、記事をお読みくださる皆さんあってこそ。

ありがとうございます!

 第一弾

第二弾

第三弾

第四弾

第五弾→この記事です。

 

前回は関西を席巻していた宝塚少女歌劇が東京へ本格的進出の拠点

「東京宝塚劇場」の設計、施工秘話と当社の多分岐調光変圧器U

採用の経緯などをご紹介いたしました。

今日はそのU型調光器についてお話したいと思います。

 

当時の型録(カタログ)の説明は以下のようになる

U型調光變壓器ハ舞台照明用調光器トシテ最モ完備シタモノデアリマシテ、

抵抗式及ビ「サイラトロンレアクトル」式調光器ニ於ケル熱損失或ハ

力率低下並ビニ負荷容量ノ變化ニ依リテ調光度ニ變化ヲ及ボス等ノ缼点ヲ

除去シタ事ハCR型及ビD型調光器ト同様デ特ニ大規模ノ舞台照明設備ノ

調光装置トシテ適當ノモノデアリマス。」

それまでの方式とは一線を画し、

電力消費の無駄が少ないこと、許容容量内であれば、あらゆる負荷の調光が

可能であるという特長があった。

特に、東京宝塚劇場は他とは異なるレビュー作品の上演を目的として

当時の日本の劇場建築の常識を超えて設計された劇場であり舞台照明設備も

スピーディーな場面展開に対応可能な設備となっていた。

調光操作機は機械的遠隔操作により操作面積が小さく、便利になるほか

130回路余り、9場面のプリセットの操作卓は当時にしては大規模にもかかわらず

それを一人の人間が操作することが可能になった設備であった。

ちなみに、東京宝塚劇場は日本で初めて照明操作室を観客席側に

置いた劇場であり、緞帳の内側の操作室で明りを操作していたそれまでのスタイル

からの脱却は東京宝塚劇場が後の舞台照明界に残した業績のひとつ、

といっても良いだろう。

 

そうして、宝塚少女歌劇は杮落しで

「宝三番叟」「花詩集」で幕を開けロングランを続けた。

 

当社のU型調光変圧器は各方面に認められ、大阪、名古屋、京都の宝塚劇場、

有楽座他、明治座、御園座などの改修でも納入され、以後約30年に亘り

舞台用調光器はこの方式が採用された。

 と、ここまで書けば気になりますね。

U型調光変圧器が一体どんなものであったのかが。

そういうわけですので……

これが、噂の()1号機です。

調光器1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調光器2

 

 

 

 

 

 

 

劇場が改修となった際ご厚意で当社に寄贈され、

現在もその一部が大田区の技術センター内に展示してあります。

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